当科では心の通う優しい医療をモットーに、外科的治療を必要とする疾患の初期診断・治療から、QOL向上のための外科的終末期医療まで幅広く対応しています。
悪性腫瘍(がん)のみならず、良性疾患も診療・治療を行っています。
当院はクリティカルパス(治療計画表)を導入していますが、疾患に対し一律な治療を行うのではなく、ひとりひとりに最善と思われる治療法を実践して、いわゆるテーラーメイド医療を行っています。
治療方針に関しては週に1度開かれる外科カンファレンスにてスタッフ全員で検討を行い治療の標準化を行っています。
対象疾患/治療
- 消化器疾患(食道、胃、大腸、直腸)
- 胆道疾患(肝臓、胆嚢、胆管・十二指腸乳頭部、膵臓)
- 乳腺疾患
- 血管疾患
- 肺疾患
- 甲状腺疾患
- ソケイヘルニア
- 肛門疾患(痔核など)
- 中心静脈内注入用ポート留置
- 腹腔-静脈短絡術(デンバーシャント)
- 胃ろう造設術
- 急性虫垂炎(いわゆる"もうちょう")
- 気胸
- 腸閉塞
- 消化管穿孔
- 交通外傷
消化器疾患(食道、胃、大腸、直腸)
消化器内科、放射線科と連携して診断、治療を行い、根治性を損なわない低侵襲治療を心がけています。
痛みが少なく、入院期間も短くてすむ腹腔鏡下手術(カメラを用いた手術)も積極的に行っています。
手術がおわり退院された後の全身治療(抗がん剤など)も一貫して当科で行っています。
炎症性腸疾患の治療も行っています。
当科で扱っている疾患
- 悪性腫瘍(食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌)
- 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
- 虫垂炎
- 腸閉塞
- 消化管穿孔
当科で行っている手術
- 食道亜全摘術(鏡視下)
- 胃全摘術、胃部分切除術、バイパス手術
- 大腸全摘術、大腸部分切除術、小腸部分切除、拡張術、(超)低位前方切除術、直腸切断術、人工肛門造設術
胆道疾患(肝臓、胆嚢、胆管・十二指腸乳頭部、膵臓)
外科的治療が必要な胆道疾患の診断、治療を行っています。
最も多い疾患は"胆石"で毎年50例以上の手術を行っており、90%以上はカメラを使った手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術、腹腔鏡下総胆管切開術)です。
また総胆管結石の場合はカメラを口から飲んで(ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影))総胆管結石を摘出する方法が可能な場合もあります。
10mm以上の胆嚢ポリープの多くは手術適応であり腹腔鏡下手術が可能です。
閉塞性黄疸に対してはPTCD(経皮経肝的胆道ドレナージ)やERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)を行いERBD(ENBD)による減黄やステントを用いた胆管拡張術を行っています。
肝臓癌の治療は消化器内科、放射線科と協力して、手術や経皮的焼灼術、肝動脈塞栓術を行っております。
当科で扱っている疾患
- 悪性腫瘍(肝臓癌、転移性肝腫瘍、胆嚢癌、胆管癌、膵癌、十二指腸乳頭部癌)
- 胆嚢結石症
- 総胆管結石症
- 胆嚢ポリープ
- 閉塞性黄疸
当科で行っている手術
- 肝切除術
- 膵頭十二指腸切除術
- 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術
- 膵体尾部切除術
- 拡大胆嚢摘出術
- 胆嚢摘出術(腹腔鏡下)
- 総胆管切開術(腹腔鏡下)
乳腺疾患
乳がんの増加、検査・治療の多様化に伴い専門外来を開設しています。
乳房のしこり、痛み、乳頭からの分泌など乳房に関する診療を全般的に行っています。
マンモグラフィー、乳房超音波検査を用いた乳癌検診(精密検査)も行っています。
乳がんの手術に関しては温存手術を積極的に行っており、術前化学療法を行い温存手術を目指す方法も行っています。
乳房、乳頭の形成(乳房切除後の再建、陥没乳頭など)に関しても大阪市立大学皮膚科形成外科の協力のもと診療、治療を行っています。
乳腺疾患の診療・治療に関しては乳腺診療にかかわる院内のスタッフ(外来、病棟、検査、薬剤、リハビリ、地域医療相談室など)が月に1度集まり乳腺疾患カンファレンスを開催して検討しています。
カンファレンスを行うことでチーム医療の質を高め患者様の安心、満足につなげていくことを目標としています。
女性スタッフ(看護師、放射線技師、薬剤師、理学療法士)も積極的に診療・治療にかかわっており、患者様が乳房に関する相談をしやすい環境作りに配慮しています。
当院での乳がん治療は基本的に世界的なガイドライン(St.Gallen、NCCN)や日本のガイドライン(乳癌診療ガイドライン)に準拠した治療をお勧めしていますが、患者様一人一人の希望、社会的事情は異なっているため、できるだけ多くの治療選択肢を提案し患者様とともに十分に話し合い治療方針を決めていくことを基本に考えています。
当科で扱っている疾患
- 乳癌
- 乳腺症
- 線維腺腫
- 葉状腫瘍
- 乳腺炎
- 乳輪下膿瘍
- 陥没乳頭
当科で行っている手術
- 胸筋温存乳房切除術
- 乳房温存手術
- 腫瘤摘出術
血管疾患
従来の侵襲的な血管造影検査に代わり、非侵襲的なCT-angiography、MR-angiovenographyを用いて血管病変の評価を行っています。
ASO(閉塞性動脈硬化症)に対しては循環器内科、放射線科と共同で、低侵襲なPTA(経皮的血管形成術)及びステント留置術を行っております。
外科的治療が必要な場合は大腿動脈-膝窩動脈バイパス術を行っています。
当科で扱っている疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 腹部大動脈瘤
- 下肢静脈瘤
当科で行っている手術
- 大腿動脈-膝窩動脈バイパス術
- ストリッピング
肺疾患
肺腫瘍に関しては呼吸器内科、放射線科と協力し各種画像検査(PET-CT、High resolusion CT)、気管支鏡検査(生検、細胞診)、CTガイド下生検を行い診断を行い悪性腫瘍であれば手術(可能であれば胸腔鏡下手術)、抗がん剤治療を行っています。
気胸の多くは自然気胸であり初発の約50%は再発なく自然治癒するため保存的治療(胸腔ドレーン)を行っていますが、難治性の場合や気胸を繰り返す場合には手術(胸腔鏡下肺部分切除術)を行っています。
当院の気胸手術術後の再発率は約18%と全国的にみても良好な成績です。
当科で扱っている疾患
- 肺癌
- 転移性肺腫瘍
- 気胸
当科で行っている手術
- 肺葉切除術
- 肺部分切除術(胸腔鏡下)
甲状腺疾患
甲状腺とは、のど仏の下の部分にある蝶の形をした臓器で生体内のバランスを司るホルモン分泌を行う組織です。
甲状腺疾患の検査は触診、超音波検査で行い、腫瘍性の病変があるときには細い針を病変に刺して細胞を取ってくる検査(穿刺吸引細胞診)を受診当日に行います。
甲状腺がんは比較的緩やかな経過をたどることが多く、予後も良好です。
しかし、腫瘍や転移した頚部リンパ節が声帯を調節している神経(反回神経)に浸潤すると、嗄声(声がかれること)をきたすことがあります。
また腫瘍が大きくなるにつれ肺や骨へ転移する頻度も高くなるため、甲状腺がんは手術が必要となります。
当科で扱っている疾患
- 甲状腺癌
- 腺腫様甲状腺腫
- のう胞
- 濾胞腺腫
- 副甲状腺機能亢進症
当科で行っている手術
- 甲状腺全摘術
- 甲状腺亜全摘術
- 甲状腺片葉切除術
- 副甲状腺摘出術
ソケイヘルニア
ソケイヘルニアとは、いわゆる脱腸のことで、股の付け根部分が膨らんでくる病気です。
お腹の中の腹膜という膜が風船のように飛び出して起こりますが、同時に腸管が飛び出した場合には痛みを伴うこともあります。
飛び出した腸がもどらないまま陥頓(ヘルニア内にはまってしまうこと)すると腸が腐り、緊急手術(腐った腸の切除)を必要とする場合もあります。
ソケイヘルニアの手術は外に飛び出す穴をふさぐことを目的とし、再発率の極めて低い新しい治療法であるクーゲルパッチ法を多く用いています。
しかしソケイ部の手術歴がある場合や、再発ヘルニアの場合はクーゲルパッチ法は難しく、他の方法(メッシュプラグ法など)で手術を行うこともあります。
当科で扱っている疾患
- ソケイヘルニア
- 大腿ヘルニア
当科で行っている手術
- ヘルニア根治術(クーゲル法、メッシュプラグ法など)
肛門疾患(痔核など)
肛門部の痛み、出血などの肛門部の悩みを解消すべく診療しています。
最も多い疾患は痔核であり生活習慣(排便習慣)の改善が大切です。
当科では初期治療として生活指導、内服・外用剤投与を行い保存的に治療を試みます。
保存的治療の効果がみられない場合や再発を繰り返す場合は根治的手術をお勧めしています。
出血(下血)のある場合は大腸癌などの悪性腫瘍の可能性もあるため大腸内視鏡検査が必要となる場合もあります。
当科で扱っている疾患
- 内痔核
- 外痔核
- 痔ろう
- 肛門部腫瘍
当科で行っている手術
- 痔核根治術(PPH、Milligan-Morgan法)
- 痔ろう根治術(Seton法)
- 腫瘍摘出術
その他
手術は入院が原則ですが、局所麻酔下で手術可能である場合は日帰り手術も行っております(土曜日に行うこともできますのでご相談ください)。
当科で扱っている疾患
- 粉瘤、脂肪腫
- 長期抗癌剤投与が必要な患者様
- 経口摂取不能で長期栄養管理が必要な患者様
- 難治性の腹水
当科で行っている手術
- 腫瘍摘出術
- 中心静脈用ポート留置術
- 胃ろう造設術
- デンバーシャント留置術